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独自システムで投資抑制、期間貸し外販も=IT-Com(日本経済新聞)

顧客からの電話による問い合わせへの対応や受注・セールス業務を手掛ける
コールセンター。自社での運営以外に専門会社への委託も多い。
札幌市は人件費の安さから道外からの進出が相次ぎ、一大拠点となっている。
道内で受託専業大手のアイティ・コミュニケーションズ(IT-Com、札幌市、小金澤健司社長)
は低コストで利便性の高い独自のシステムが強みだ。企業の先進的なIT(情報技術)
活用例を表彰する企業情報化協会(東京・港)の「IT賞」。IT-Comは昨年十一月、
ホンダやNTTドコモなどと並び二〇〇七年度の同賞に選ばれ、「ITビジネス革新賞」を
受賞した。北海道大学との産学連携で開発し、〇二年十一月に稼動を始めた同社の
コールセンターシステムはIP(インターネットプロトコル)を基盤とし、
各拠点に高価な交換機が不要になった。データセンター内に設置したIP交換機で
すべての情報を一元管理し、各地の拠点でオペレーターが使う簡易端末との間を
IP回線で結んだ。従来のコールセンターシステムは拠点ごとにアナログ交換機を設置。
オペレーターが顧客データなどを見ながら対応するための端末には記憶装置や
ソフトが内蔵される場合が一般的。一千席規模の拠点で初期投資は五十億円程度という。
一方、IT‐Comのシステムは十分の一の五億円程度で構築できる。独自開発のきっかけは、
00年に起業してから半年後に大手システム販売会社から受け取った見積書だった。
拠点規模を五十席から百席にしようとしたところ、示された見積額は一億五千万円。
小金澤社長は「事業拡大のたびに多額の設備投資がかかっては大手と競争できない」
と考え、北大大学院の山本強教授などに協力を求めた。オペレーターの端末を簡易化し、
IPで運用するコールセンターシステムの開発は国内で初めてだった。端末に顧客の記録を
保存せず、個人情報保護の徹底にも役立った。機能は〇六年十二月には大手が販売する
システムと同等以上に充実させた。専用回線の設置費用などもかからず、低コストでの
展開が容易となり、仙台市や大阪市といった道外にも拠点を広げた。ブース数は各拠点の
合計で千百席を超えた。〇七年九月からはソフトの期間貸し(ASP)方式でシステム外販にも
乗り出した。コールセンターを自ら持つサービス関連企業など九社と契約する。
一〇年度には外販で、全売上高の一割に当たる五億円の売り上げを見込む。
開発を担当する技術系社員は北大工学部の出身者など現在は十三人だが、一〇年度には
二十人規模まで増やす予定。開発力を強化しつつ、道内と首都圏、九州の計三拠点への
進出も検討する。専門性の高い対応ができるオペレーターを確保するため、待遇向上にも
取り組む。二月十日には入居ビルのワンフロアすべてを使い、ビデオライブラリーや仮眠室を
備えた休憩室が完成する。総工事費は千五百万円。
「人材確保には満足度を高める投資が重要」(小金澤社長)として、札幌市に専業や自社運営
のコールセンター進出が増えていることから、今後は道内の他の都市でも採用活動に力を
入れる。新興市場への上場に向けて監査を終え、主幹事の証券会社も決定している。
ただ、金融機関からの資金調達にメドがついているため、上場するかどうかの方針を
二年以内に決める。

日本経済新聞 2008.1.29